« 戻る RSS
技術交流掲示板
- ナノエレクトロニクス計測分析技術研究会トップへ -

[2050] 放射光を用いたXRD測定の件 2010-09-08 00:38:00
お名前 : XRD [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
放射光を用いてXRD測定すると非常に高感度で測定できると思うのですが、なかなか汎用的なXRD測定データと放射光でのXRD測定データとを比較した結果がありません。どの程度、汎用的なXRDと比較して放射光では高感度で測定できるものでしょうか。
 
パスワード :


response

[2051] Re:放射光を用いたXRD測定の件 2010-09-08 15:56:42
お名前 : AA [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
放射光ではX線管球やローターX線源と比較して百倍から千倍以上のX線強度が得られます。そのため、汎用X線装置では回折ピークが見えないような薄い膜や小さい試料の測定ではメリットがあります。また、放射光は平行性が良いので、高分解(角度)の測定や、波長が変えられることから測定元素の吸収端を利用するMAD法による構造解析にも適しています。ただ、利用機会は限られるので、汎用装置で見えるような試料には使う必要は無いでしょう。
 
パスワード :

[2052] Re:放射光を用いたXRD測定の件 2010-09-08 22:45:46
お名前 : XRD [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
吸収端を利用するとどのような知見が得られるのでしょうか。
 
パスワード :

[2053] Re:放射光を用いたXRD測定の件 2010-09-10 11:06:21
お名前 : AA [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
吸収端の利用範囲はかなり広いと思いますが、ここでは私が理解してる範囲で「X線回折による結晶構造の決定」について説明してみます。
X線の散乱・回折とは、試料中の電子が入射X線の振動電場によって強制振動させられた結果、同じエネルギーのX線を放出することによって起こります。試料中の電子は原子核の周りにK軌道やL軌道などの軌道をとって回っていて、それは軌道に特定のエネルギーで原子核と結合しています。一個の原子がX線の散乱に寄与する電子を何個持っているかを表したものを原子散乱因子と呼びます。結晶の構造因子は、この原子散乱因子から計算できます。吸収端以外では、この数はほとんど原子番号と同じ実数です。このような通常X線を使う場合、元の結晶構造と、それを鏡に写した鏡像では構造因子の絶対値は同じになるため、得られる回折強度も同じになり、両者を区別することはできません。
吸収端を使うとこの区別ができ、絶対構造が決定できます。吸収端とは、電子の結合エネルギーに近いX線を当てると電子が共鳴振動し、散乱や吸収が大きく変化し(そのため異常分散と呼ばれています)吸収量が大きく変わるX線エネルギーを指します。共鳴振動では、調和振動子のモデルで分かるように散乱因子は複素部を持ちます。この効果により構造因子の絶対値は元の像と鏡像では異なるため、どちらの構造が正しいか判別できます。吸収端付近で波長を変えて測定し、たんぱく質などの複雑な構造を決めるのには、このような多波長異常分散法(MAD法)が用いられます。これらはエネルギー(波長)可変の放射光の利用が理想的です。一方、最近では汎用装置の性能向上により、吸収端以外でも原子散乱因子に存在する僅かな複素部を使うと、同様な構造解析が可能な場合もあるそうです。
 
パスワード :

[2054] Re:放射光を用いたXRD測定の件 2010-10-30 14:25:18
お名前 : XD [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
最初の質問の趣旨とは異なるのですが、X線管球やローターX線源と比較して百倍から千倍以上のX線強度があれば、試料が変質することはないのでしょうか。電子線の場合とは違いX線では、ダメージはあまり問題にならないのでしょうか。
 
パスワード :

[2055] Re:放射光を用いたXRD測定の件 2010-11-02 19:31:59
お名前 : X [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
 確かにダメージはあります。まずは目視でダメージの有無を判断します。試料にもよるでしょうが、何等かのダメージ=変質があると試料の色が変化することがよくあります。また、同じ試料を何回か測定してデータに変化がないかなどを確認します。
 いずれにしても強力なX線ですので、ダメージには細心の注意が必要です。

 何か良い手法をお持ちの方がおられましたら、お教え下さい。 
 
パスワード :

[2056] Re:放射光を用いたXRD測定の件 2011-02-14 16:47:51
お名前 : Xdd [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
 日本表面科学会 関西支部主催の実用表面分析セミナー2010http://www.sssj.org/Kansai/kansai_jitsuyou13.htmlで日本板硝子テクノリサーチの酒井さんが発表されている「極最表面の結晶相評価 ラボXRDでSPring-8の測定に迫る」の中に放射光と汎用XRD装置との比較があります。
 また、SPring-8の利用報告書2009A1772、2009B1786でも報告されています。利用報告書はhttp://user.spring8.or.jp/uisearch/expreport/jaで検索できます。

 発表の趣旨は汎用装置の測定条件改善ですので、ご質問の内容とは異なるかもしれませんが参考になるかと思います。
 
パスワード :

Page : 1


返信フォーム

お名前
メールアドレス
ホームページ
設置先
題名
メッセージ
  ファイルアップロードは1000kbまで可能です。
ファイル1 ファイル1へ添付可能なファイルは、 .txt .zip .lzh です。
ファイル2 ファイル2へ添付可能なファイルは、 .jpg .gif .png です。
パスワード
解決!! 解決した場合はチェックを入れてください。