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[2211] TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2010-09-04 23:15:05
お名前 : TEM担当者 [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
TEMでのEELS分析ではTEMの加速電圧がEELS測定の精度に影響するのでしょうか。http://www.tsc-web.jp/forum/index.html?mode=viewmain&l=1&no=26&no2=71&p=1&page=0&dispno=26にもあるように、試料ダメージを考慮すると低い加速電圧の方が有利ですが、EELS測定の精度に影響するのでしょうか。
 
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[2212] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2010-09-08 10:57:43
お名前 : 東レリサーチセンター/FUPET 杉山直之 [メール] [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
精度という言葉は非常に守備範囲が広いのでご希望するお答えになっていないかもしれませんが、参考までにお答えします。
加速電圧を落とした際に懸念される影響は大別して以下の2点です。
?電子線を絞りにくくなるので、空間分解能が落ちる。
?電子線の透過能力が落ちるのでサンプル内での多重散乱が顕著になり、バックグラウンドやピーク強度が増大する。
おそらく、低加速にしただけではエネルギー分解能の劣化が生じることはないと思います。
一方で、やはり電子線の加速電圧(入射エネルギーを落とすことで試料のダメージは劇的に抑えられるという報告がすでにいくつもあります。
最近登場してきた球面収差補正機能付きのSTEMであれば、上記の?の弱点はほぼないものとできます(むしろ、収差補正装置の付いていない高加速電圧のSTEMよりもすぐれていると言えます)。これが、最近登場した装置に低加速仕様が標準になっている主な理由だと思います(F社ののTitanであれば、60kVでの測定が可能です)。
?については、球面収差補正機能により電流量も増大しているので、従来の装置ほどではありませんが、やはり薄いサンプルを準備するに越したことはないと思います。
ので、現在考えうる理想的な測定としては、
(1)なるべく薄く加工ダメージのないサンプルを準備する(50nm以下が望ましいですね)
(2)球面収差補正装置のついたSTEMで低加速でのEELS測定を行う。

以上です。ピントはずれな答えだったらごめんなさい。
では、ご参考まで。
 
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[2214] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2010-09-08 14:01:09
お名前 : 住化分析センター/山本 悠 [メール] [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
EELS分析で加速電圧を上げると、一般的に次のようなことが起こります。

 ○非弾性散乱電子の平均自由行程が長くなり、多重散乱が減少する
 ○非弾性散乱角度が小さくなり、相対的に検出角度が大きくなる

これらの結果、厚い試料でも分析が可能になり、空間分解能も向上します。
また、内殻励起吸収端のPeak/Background比が向上するため、微量元素の検出感度も良くなります。

加速電圧を下げた場合のエネルギー分解能ですが、機種によっては若干良くなることもあるようです。
ベルシェ効果(電子間の相互作用によってエネルギーの単色性が劣化する現象)が抑制されるため、というのがその理由のようです。


既に適切な回答がなされていますが、ご参考になれば幸いです。
 
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[2215] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2010-09-08 18:41:45
お名前 : TEM担当者 [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
 杉山様、山本様ご丁寧な回答をありがとうございます。
 
 ところで杉山様のご説明に「入射エネルギーを落とすことで試料のダメージは劇的に抑えられる」とありますが、どの程度まで落と劇的な効果があるのでしょうか。
 
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[2216] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2010-09-21 11:21:31
お名前 : 東レリサーチセンター/FUPET 杉山直之 [メール] [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
回答が遅くなり申し訳ありません。回答いたします。

定量的にどれくらいというのは難しい(材料によっても違うので)と思いますが、電子線ダメージを受けやすいカーボンナノチューブなどでは、125keV以下が必須という報告があります(産総研末永氏のグループからの報告)。一方で、最近は30keV〜60keVでの測定結果の報告が増えてきているので、本当はこれくらいが必要なのかも知れませんね。先月末に開催された分析電顕討論会でも、60keVならEELSマッピングにも耐えられるとの発表がありました。

あまりちゃんとした答えになってないかもしれませんが、また何かありましたらご連絡ください。
 
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[2217] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2010-09-11 19:38:21
お名前 : EELS超初心者 [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
横槍入れてすいません

> ○非弾性散乱角度が小さくなり、相対的に検出角度が大きくなる

加速電圧を上げると非弾性散乱角度が小さくなるのは分かるのですが、
相対的に検出角度が大きくなるとはどういうことでしょうか?

稚拙な質問で申し訳ありませんが、教えてください。
 
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[2218] 加速電圧と検出角度について 2010-09-14 09:57:36
お名前 : 住化分析センター/山本 悠 [メール] [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
ご質問ありがとうございます。
回答させていただきます。

「相対的に検出角度が大きくなる」という表現は、
検出器絞りの径とカメラ長が一定の状態で加速電圧を上げた場合、
検出角度(取り込み角)が一定のままで非弾性散乱角度のみが狭まるため、
結果的に検出角度が大きくなったことと同じ効果が得られる、
という意味で使いました。
 
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[2219] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2010-09-23 17:05:28
お名前 : TEM [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
 日立ハイテクノロジーズの技術資料(S.I.NEWS 2010 Vol.53 No.2 P35)にEELSのゼロロスピークを用いたエネルギー分解能測定結果として、下記の値が紹介されています。

  加速電圧(kV)  エネルギー半値幅(eV)
    200           0.38  
    120           0.32
     80           0.30

 この差が、測定データにどのような違いとなるか知見をお持ちの方がおられたら教えて下さい。
 
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[2220] エネルギー半値幅の差について 2010-09-30 18:16:34
お名前 : 住化分析センター/山本 悠 [メール] [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
一般的にエネルギー半値幅(エネルギー分解能)が良いほどEELSスペクトル形状を精密に観察することができ、
その結果、電子構造や化学結合を詳細に解析することができます。
EELSのエネルギー分解能は使用している電子源によって異なり、およそ以下のような値を示します。

・熱電子放出型電子銃(LaB6陰極):1-2eV
・熱陰極電界放出型電子銃(ショットキー型電子銃):0.7-0.8eV
・冷陰極電界放出型電子銃(Cold-FEG):0.4-0.5eV

元素分析やプラズモン励起の観察などであれば、1eV程度の分解能で十分と思われます。
内殻電子励起スペクトルの微細構造を解析する場合には分解能が高いほど有利と言えます。

ご質問いただいているエネルギー半値幅の差ですが、測定データには大きな差としては現れないと思われます。
内殻電子励起スペクトルの観察について言えば、エネルギー半値幅の微小な差よりもむしろ、
エネルギードリフトやS/N比のほうがより大きな問題になってくると思います。

ご期待された回答内容に適ったものかどうか自信がありませんが、ご参考になれば幸いです。
 
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[2222] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2011-02-23 23:24:19
お名前 : EELS勉強中 [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
http://iopscience.iop.org/1742-6596/209/1/012031/にある文献「Advantages of low beam energies in a TEM for valence EELS」を読むと、高い加速電圧の方が「relativistic energy losses」などが影響するとあります。「relativistic energy losses」ということをあまり聞いたことがありません。
 何か関係する文献、資料をご存知でしたらお教え下さい。

 
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[2223] Re:TEM-EELS分析での加速電圧の影響について 2011-09-28 16:09:24
お名前 : hk [ホームページ] カテゴリー : 【計測分析技術の話題】【計測分析技術
http://iopscience.iop.org/1742-6596/209/1/012031/のAbstractに「relativistic losses」は物質中での電子の速度が物質中での光の速度より遅くなった時に消滅するとあるとおり、高速電子のよるチェレンコフ放射によるロスです。例えばSiの屈折率は約4ですので、Si中の光の速度は真空中の1/4となるので、200keVの入射電子の方がはるかに高速になっています。
 
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